地面の下を走っているのは、もぐらのバス? 「ピタゴラスイッチ」の人気クリエイターが手掛ける不思議でのんびりとした世界観が魅力の絵本。なんといっても「ピタゴラスイッチ」を思い起こさせるかわいいキャラクターと、どこまでもゆるく平和な世界観が魅力です。バスや車が好きなお子さんではなくても、かわいいキャラクターとゆるーい世界観にハマるはず?
STORY
ものおきのした 1ちょうめ、だれかんちのにわ3ちょうめ、こんなバス停見たことないですよね。地面の下の住人たちの小さなお話!
もぐらバス 偕成社
街の下を走る不思議なバスのお話
物語の舞台となるのは、もぐらの建設会社が町の地下に張り巡らせた小さなトンネル。そこには、もぐらの運転手が運転するバスが走っています。
不思議な設定の絵本ですが、この世界なりのしっかりとしたルールが決められているのが世界観の面白さを引き立てます。たとえば、最初の「ごあんない」で書かれているのは、「もぐらバスのうんちんは1かい1えんです」「こどもとろうじんのかたはむりょうです」「かえるのかたは、よくみずをふいてからのってください」という3つのルール。特に3番目のかえるのお客さんへの注意は、「あ、かえるも乗るんだ」と、妙にワクワクした気持ちになりました。
また、停留所の名前が面白く、「だれかんちのにわ3ちょうめ」「いぬのいるいえのにわ2ちょうめ(しずかにとおる)」「すいどうかんうえ(ちゅうい)」といった感じで、路線図も本文中に載っています。この路線図を見るだけでも「あー、そんなところ通るんだ!」と楽しめるんです。
そして地下を走るバスだけに、物語では予期せぬアクシデントが。なんと道路の真ん中に、大きなタケノコが顔を出してしまったのです。このタケノコを掘り起こすために、もぐらの建設会社が出動して対処にあたるのですが……。乗客たちの対応や、掘り起こされたタケノコのその後も、なんともほっこりとしたエピソードが展開します。
物語の面白さも魅力ですが、個人的にはやっぱり世界観が楽しい作品と感じます。もぐらや地下世界の住人たちの暮らしや、普段のもぐらバスの様子を想像しながらイメージを膨らませるのがおススメです。思わず地下の世界で暮らしてみたくなる、そんな気持ちにさせてくれる絵本です。
詳細情報
作:佐藤雅彦
作:うちのますみ
出版社:偕成社
発売日 2010年4月
価格:1100円
3歳~
19cm×26cm 32ページ
受賞歴:
日本図書館協会選定図書(2010)
全国学校図書館協議会・選定図書(2011)
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